【スタートアップ&メンター対談】 2025.12.10

座学では得られない「生きた事業支援」──柏の葉のつながりと伴走型メンタリングが導いた、事業の新たな突破口

ポッドテック株式会社 岡村柾紀氏とTEPメンター尾﨑典明氏の対談
参加企業   ポッドテック株式会社
事業概要 製造業向けにAIを活用した最適商品探索プラットフォームを開発し、既存の社内商品データベースをAIフレンドリーに再構築するところから始め、データ取得・整備・モデル運用までを一気通貫で支援。これにより、担当者の検索工数や判断負荷を大幅に削減し、業務DX推進と収益性向上を同時に実現する。
プログラムで得た実績 ・柏の葉の製造業大手企業とビジネスに繋がるアポイントを獲得できた
・契約検討中だった案件をプログラムを通して納品まで繋げられた

柏の葉の新産業創造を牽引するスタートアップ支援プログラム「KOIL STARTUP PROGRAM 2025」では、約4か月間にわたってスタートアップの事業成長を後押ししてきました。

今回は、現場の具体的課題に即したAIソリューションの提案・実装で製造業を支援する「ポッドテック株式会社」代表取締役の岡村柾紀氏と、TEPメンター 尾﨑典明氏のお二人をお呼びして、メンタリングの感想や全プログラムを終えて感じること、今後の展望を伺いました。

ポッドテック株式会社 代表取締役 岡村柾紀 氏

筑波大学大学院在学中、工場自動化ロボットのスタートアップに参画し、製造業の現場課題や実情を学ぶ。その一方で、大学の授業やプロジェクトを通じて、現在のLLM(大規模言語モデル)の基盤となる自然言語処理を研究。これらの経験をもとに、茨城県つくば市を拠点としてポッドテック株式会社を起業し、生成AI開発およびDX支援事業を展開。AI活用に向けたデータベース構築、オーダーメイドの生成AIシステム開発などを通じ、企業のAI導入と業務プロセス変革を支援している。

TEPメンター 尾﨑典明 氏

2004年九州工業大学大学院・工学研究科物質工学専攻修了。コンサルティング会社にて企業の新事業・新商品開発支援に携わる。2009年S-factory創業、企業に加え、自治体、NPO、スタートアップに対し支援を行う傍ら、官公庁等のアドバイザー等を歴任。TXアントレプレナーパートナーズ副代表理事、NEDO スーパーバイザー、筑波大学国際産学連携本部 客員教授も兼務。


実証にも踏み込んだ伴走支援。事業フェーズに寄り添ったメンタリングが大手企業とのアポイントへ

メンタリング風景

── プログラムが終わってみてのお互いに対する印象や感想についてお聞かせください。

TEPメンター 尾﨑典明 (以下「尾﨑」):実は、岡村さんは筑波大学在籍時に僕の講座を受けてくださっていて、筑波大学発のAIロボティクスカンパニーのお手伝いをされているのも知っていたので、初対面というわけではありませんでした。学生時代の面識からロボティクス専門かと思っていましたが、初回面談で話をして、生成AIなどのトレンド技術にも事業的な関心があることを知りました。競合スタートアップが多い事業領域ではあるものの、製造業を中心とした企業の課題でもあり、岡村さん個人の当事者課題でもある事象に、仮説を立てて取り組んでいる印象を受けました。

ポッドテック株式会社 代表取締役 岡村柾紀(以下「岡村」):柏の葉のことは深くは知らなかったのですが、手厚い支援を受けられるプログラムだと感じて応募しました。最初に参加したビジネスプラン作成セミナーのグループディスカッションで、尾﨑さんがメンバーそれぞれの状況を汲んだ的確なアドバイスをしてくださっていたのが印象的でした。事業的な話はもちろん、雑談なども交えた、温かさを感じるメンタリングだったと感じています。

── プログラムは期待していた通りの内容でしたか?

岡村:最初のビジネスプラン作成セミナーから、中間報告会、最終発表会まで、それぞれが独立して価値のある内容で、期待以上の経験をさせてもらったと思います。事業の進捗やスピードを鑑みたプログラム構成になっており、ステップに合わせたアドバイスをリアルタイムでもらえたので、効率的に事業の検討を進めていくことができました。

尾﨑:岡村さんがどのように事業を捉えているか、どんなふうに成長させていきたいのか、イメージをすり合わせることが重要だと考えていました。それが異なると正しいメンタリングができないので、選択肢を狭めないように意識しつつ、話をしたのを覚えています。岡村さんの場合はすでに受託の仕事を受ける形で事業が走っていたこともあり、ビジネスプランの提案だけにとどまらない、実行性を伴うアドバイスを行いました。事業と並行して、顧客ニーズからわかったことをブラッシュアップするためにPoCも行っていきました。

── 約4か月間のメンタリングを通じて、参加当時の課題を解決できましたか?

岡村:契約面やチームビルディングなど、事業的な課題感や不明点も多かったのですが、プログラムのサポートがさまざまな側面において、ピンポイントで役立ったと感じています。柏の葉エリアに拠点を持つ製造業者とのネットワーク構築を通じて、現場起点のリアルな業務課題やニーズを共有する機会を得たいという思いもあったのですが、それも大手企業とのアポイントという形で昇華できました。

事業の不確実性に向き合うために。コミュニケーションを重ねて磨いた「伝える力」

対談中の岡村氏と尾﨑氏

── 岡村さんから見て、メンタリングではどのようなアドバイスが印象的でしたか?

岡村:その都度、ピンポイントで方向性や突破口を示唆してもらえました。無理に整理するのではなく、自分たちの優位性を見つけていく活動を促してもらえたのが良かったです。自分にない観点や事業の尖らせ方についてのアドバイスがあり、リアルタイムで事業を進めながらメンタリングを受けることで、より手応えを持って進められたと感じています。

── メンターから見て、スタートアップ側に最も成長を感じた瞬間はどんな場面でしたか?

尾﨑:当初は岡村さんのコミュニケーション面で不安があったのですが、途中から改善されて、しっかりと腰を据えていろいろな話ができるようになったのはとても良かったです。プレゼンスタイルも決まりきった形式的なものから、その時点の課題を共有することで的確なフィードバックを引き出せるようなものに変わっていきました。大学の講義であれば受け身の姿勢でもうまくいきますが、生ものを相手にする事業はそうはいきません。プログラムを通して、事業のリアルな進め方や、必要なものとそうでないものの見極め方などを理解してもらえたと思っています。

また、別の観点で、受託で仕事をもらい続けてもスタートアップとしてスケールアップしないため、PoCをしながらどの部分に成長性があるかを見極めていく必要がありました。この点についても、ディスカッションを重ねることでクリアになっていったと感じています。メンタリングはもちろん、雑談も含めて、コミュニケーションの総量が増えたことが、岡村さんの「伝える力」の改善につながったのだと思います。

柏の葉で生まれたつながりを推進力に──さらなる協業や案件受注への展望

プログラム参加風景

── プログラム全体を通しての感想や、KOIL STARTUP PROGRAMならではの良さを教えてください。

岡村:個人的にリフレッシュできたり、考えごとができたりする場所として、柏の葉が好きになれたことが一番だと思っています。皆さんとお会いするときはいつも和やかな雰囲気が漂っていて、あの場に行くと幸せになれるようなイメージがあります。今後は柏の葉にある製造業をはじめとした企業と連携も検討しつつ、自分たちの事業的価値をさらに磨いていきたいです。

尾﨑:各社それぞれで成長されたと感じています。こういったアクセラレーションプログラムは非常に流動的なものであり、参加者の性質によって内容をチューニングしていく必要があると思うので、今回もメンター陣を含め皆で作り上げていきました。その甲斐あって、単発的なプログラムではなく、今後も続いていくような関係性を構築できたのではないかと感じています。岡村さんに柏の葉OBとの交流の場を設けられたのもよかったですね。このプログラムならではの持ち味だと思います。今回プログラムで扱った内容は、ポッドテック社の一領域でしかありません。ほかの事業ドメインの検討余地がまだまだあると思うので、引き続き期待しつつ、支援も継続したいと考えています。

── 今回達成できた成果を教えてください。

岡村:柏の葉の製造業大手企業と商談アポイントを獲得したこと、契約検討中だった案件をプログラムを通して納品まで繋げられたことです。こうした成果をベースに、次の連携先や見込み顧客との接点を増やしていく流れができていると実感しています。

── 今後の展望や柏の葉での実証実験の予定などがあれば教えてください。

岡村:確定ではありませんが、中長期で拠点をしっかり作りつつ、さまざまな企業と連携していけたら良いなと考えています。いずれは柏の葉に拠点を置くことも検討したいですね。大企業との関わりをもとに、他企業との協業や受注も狙っていきたいです。

── 最後に、今事業を立ち上げようとしているスタートアップに向けて一言メッセージをお願いします。

岡村:KOIL STARTUP PROGRAMには多様な事業フェーズ・領域に対応できるメンター陣とプログラムが用意されているので、世の中で目立つようなスタートアップはもちろんのこと、自社事業の方向性に迷っていたり可能性を感じていたりするフェーズの企業も、間違いなく多くの学びや発見があると思います。これまで見えていなかった自分の強みが見つかるので、たくさんの方に応募してほしいし、応募すべきだと言いたいですね。

尾﨑:それぞれのスタートアップに即した成長の遂げ方があると思うので、それにペースを合わせながら、プログラムが終わったら関係が終わりというんじゃなくて、ご縁が続いていくような支援を心がけたいと我々メンター全員が考えています。本気で事業支援をしながらも、コミュニケーションしやすい雰囲気も大事にしているので、挑戦したい意欲さえあれば、どんな方も大歓迎です。ぜひ積極的に応募してほしいと思います。


KOIL STARTUP PROGRAMについて

「KOIL STARTUP PROGRAM」は、柏の葉スマートシティにあるイノベーション拠点KOILにおいて、2022年より始動したスタートアップ支援プログラムです。 新産業創造を牽引するスタートアップの成長支援を目的に、KOILの無料利用、ビジネスプラン作成セミナーや個別メンタリングをパッケージ化したプログラムを用意しています。本プログラムを立ち上げることで、柏の葉スマートシティにおけるスタートアップの集積と事業成長、さらにはスタートアップ・コミュニティの醸成を促進し、柏の葉スマートシティにおける新産業創造をより一層加速していきます。


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